The Pogues 乱れ撃ち・1 ゴッドファーザー・オブ・ケルティック・パンク

アイリッシュ・パンク」とか「ケルティック・パンク」という
音楽ジャンルがある。

 

早い話がアイルランド民謡調でパンクロックなわけです。

早いテンポで叩きつけるようなヴォーカルという形式が多い。

旅番組のBGMとか日本で「癒し」というイメージで紹介されるアイリッシュ・ミュージックとは別の畑の育ちである。

 

wikipediaではこんな風に解説されている

 

概要
アイリッシュ・トラッド・ミュージック(Irish Trad Music)+パンク・ロック(Punk Rock)」を意味する。

これは主に日本国内で通用する呼称。世界的には、ケルティック・パンク(Celtic Punk)やフォーク・ロックなどと呼ぶ。

その名のとおり、パンク・ロックの姿勢と、ケルト系民族の伝統音楽を融合させた音楽性が特徴。

そのため、アコーディオンバンジョーマンドリン(ブズーキ、シターン)、ティン・ホイッスル、フィドルバグパイプなど伝統音楽に使用される楽器を用いる。

 

1982年、ロンドンで結成されたザ・ポーグスが始まりとされる。近年、ドロップキック・マーフィーズやフロッギング・モリー
ゴーゴル・ボールデロらの活躍により各方面で再評価されることが多い。

 
日本でいちばん有名なケルティック・パンクは…アレか。


高校野球千葉ロッテの応援歌。マット・フランコデリック・メイの…

 

オイ!オイ!オイオイオイ!
オイ!オイ!オイオイオイ!
Go〇〇(選手名) Let's Go 〇〇
俺たちの〇〇

 

って曲はアメリカ産ケルティック・パンクの雄・ドロップキック・マーフィーズ
"For Boston"という曲が元ネタです。

 

で。

 

このジャンルの元祖と言われるバンド、ポーグス(The Pogues)の事を
紹介していきます。

 

バンドの記事を検索しても

 

「公式ウィスキー発売!」

 

とかゴシップの類をのぞくと2017年くらいを最後に何も出てこない。
そりゃそうだ結成は1982年で今はもう活動していないんだから。

 

物事はみんな風化して忘れ去られていくものだけど

 

「いや、まだ惜しい」

 

という気持ちが無茶苦茶あるので、どこからかThe Poguesにたどりついた人の

 

「へー、そうなの ふーん」

 

を全力でサポートするために当ブログはひたすらつぶやき続けます。
前置き終わり。

 


名刺代わりにこの一曲


The Pogues - If I Should Fall From Grace With God

最高傑作の3rdアルバム『堕ちた天使』

(原題:If I Should Fall From Grace With God)より、表題曲。

ケルティック・パンクのムードが一発で伝わる

 

こんな歌い出しだ

If I should fall from grace with god
Where no doctor can relieve me
If I’m buried ‘neath the sod
But the angels won’t receive me

Let me go boys
Let me go boys
Let me go down in the mud
Where the rivers all run dry


「神に見放されて
医者にも救えなきゃ
土に葬られても
天使も手を取ってくれない

行かせてくれ
行かせてくれよ
川の干上がった泥の中へ放ってくれ」

 

 

悲惨な状況を乾いた笑いで描くのはアイリッシュ文化に根強い伝統だが、
それが更に疾走感あふれるパンク音楽と見事に融合している。

 

…みたいな理屈より

ギネスやウィスキー片手に聴いてただただ気分アガるよね、という一曲。
                  …私あんまり飲めないんですけどね…

 


でもまぁ、これからひたすら理屈をこねるのでつまみにでもしてくださいな。

この曲を作った人たちのお話 はじめるよー。

 

The Poguesの超ざっくり概要

1982年イギリスで結成。
はじめ6人編成だったがいろいろあって8人編成になってからが全盛期。

 

1988年リリースの3rdアルバム『堕ちた天使』が最高傑作と名高く、アルバム中の
クリスマス・ソング『ニューヨークの夢』(原題:Fairytale of New York)が
全英2位の記録。


更に現在でもクリスマス・シーズンのイギリスではチャートに登場する
ド定番ナンバーになっている。

 

シェイン・マガウアンと酒の伝説

 

バンドのフロントマン(第一人者。≠リーダー)、ヴォーカルで多くの作詞作曲を
担当するシェイン・マガウアンの破天荒なキャラクターがとみに有名。

 

「ライブ中もいつも酔っぱらっている」

 

「片手にグラス、片手にタバコでマイクの向かうのがスタンダード」

 

「酒酔いと強烈なアイリッシュ訛りのせいで何を言っているのかわからないのに
なぜか素晴らしいヴォーカル」
ピーター・バラカンが「シェインの英語はぜんぜん聞き取れない」と言っている
から本当に聞き取れないんだろう)

 

といったエピソードはちょっと検索すれば山ほど出てくる。

…ライブはいつも、シェインが何曲か歌うとソデに引っ込んで休憩しちゃうという
仕様である。休憩後は新たなグラスや缶ビールを持って登場。

 

2005年の夏に一度だけライブを見たが全くその通りだった。

 

この仕様が成立する背景には、シェイン以外にヴォーカルが取れるメンバーが3人もいて、それぞれが作詞作曲したヒットナンバーを持っているという事情がある。

 (自分語り失礼ですけど、個人的にポーグスで一番好きなナンバーは
フィル・シェヴロン(ギター)の作
"Thousands are sailing" だ。

バンドで一番若い彼が2013年に誰よりも早く他界してしまった…)

 

 

私はこの種のアル中・ヤク中の破天荒エピソードにはあまりロマンを感じない方なんだけど、シェインの滅茶苦茶な足跡にはイギリス育ちのアイリッシュという背景が重くのしかかっており、彼のエピソードの数々は初見ではおかしく、やがて悲しいという感情を抱かずにいられない。

 

そこについてはおいおい書いていきましょう。

 

現在は

転倒→骨盤骨折して車椅子とかいや歩けるようになったとか、歯が使い物にならなくなってを治したとか、ジョニー・デップにリスペクトされててイベントにデップが来たー

 

…とか、ワイドショー的なネタばかり聞くのが複雑だが、詩人として歌手として音楽家として比類ない存在です。

 

他のメンバーについても順次触れていきたい。だんだんと。


8人の大所帯で生楽器のタイトな演奏を聴かせるバンドというのは
それだけで単純に恰好いい。

相当。すごく。恰好いい(客観性ゼロの文章でごめんね)

 

恰好いいのでとりあえず聞き放題サービス(把握しているのはAmazon Music)で
『堕ちた天使』が丸ごと聴けるしアルバム買っても2000円でおつりがくるから
軽率に触れてみてはいかがでしょう。

 

You Tubeの公式チャンネルでもいっぱい聴けるよ無料だよ…

といったところで今回のエントリーはおしまい。

 


#アイリッシュ・パンク #ケルティック・パンク #ドロップキック・マーフィーズ
#DropKick Murphys #ポーグス #The Pogues