映画レビュー『ルパン三世 THE FIRST』

今月半ばのことなんだけどお仕事で映画を観ました。人の付き添いね。

あんまり自分では劇場に足を運んで観に行かないタイプの映画を観たので

さっくりレビューです。


ルパン三世 THE FIRST』

 


映画『ルパン三世 THE FIRST』予告【大ヒット上映中】


初のオール3DCGによるルパン。93分。

原作者のモンキー・パンチ氏(今年鬼籍の人となられた。合掌)はかねてから
3DCGアニメの構想を持っていたそうです。wikiの受け売りですけど。


で、どうだったのよ映画? という点ざざーっと書きます。


特別ルパンマニアでない者の感想となります。
アニメは昔のテレビ版と「カリオストロの城」(1979 宮崎駿監督)くらいしか見てないです。

 

導入

 

ルパン一世に当たるアルセーヌ・ルパンも盗めなかったというお宝にルパン三世がアタックする。

例によって仲間たちは

 

「価値の良くわからないものの盗みは手伝わない。今回は降りるぜ」

 

という態度だがどうせいつものように協力することになる。

 

一方、このお宝を狙う美少女泥棒がいて、身の上などを聞いているうちに共闘することになる。
美少女の声は広瀬すず

 

美少女は考古学の天才だが、やむをえず盗みに手を染めている。

 

彼女を操る悪い奴がいるのだ。
実は裏にナチスの残党がいる。

 

ナチスと銭形が追ってくるけどがんばれルパン。
祖父の夢と美少女の為に。


…という話です。


感想箇条書き

・楽しく拝見しました。ご一緒した方もとても楽しんでおられました。

 

・難しいことは一切なく肩の凝らないアクションアドベンチャー
幼稚園年長くらいのお子さんなら楽しく観られる親切な筋立て。

 

「華麗な怪盗がかっこいい仲間と活躍! ワケあり美少女を助ける! 敵はナチス残党!」

 

というフレーズから想像できる内容をきっちりやってくれる映画。

 

・このテの映画で観たい派手なシーンは一通り盛り込んでいる。爆発するカーチェイスする超兵器出る

 

・声優ではない俳優の声の演技もヘンな感じではなかった。

(私はこのへんのこだわりが薄い方なのでコテコテの声優ファンの方がどう思うかちょっとわかりません)

ヒロインの広瀬すずは完全に広瀬すずだったけど役には合っていた。

 

・謎や伏線の回収は丁寧で「あれは結局どうしたの」的ツッコミ処はほぼない。

 話は期待通りに進むが適度に「この先いったいどうなるの?」展開がある

 

・唯一「話の都合でひどく愚かになったり優秀になったりする銭形」の書き方はちょっと醒めるなぁと思ったけど、大騒ぎするほどの傷ではないかな…。

 

このテの「観てる方が醒めるご都合主義」は少なめの作品だと思われます。

 

(人それぞれですが)年端も行かない美少女が天才だったりルパン一味がいつにも増して超人的なのは
「醒めない方のご都合主義」

として観ました。物語を面白くするためのでたらめ。


「読者にストーリーのアラを指摘されたとき、問題点は筋の破綻じゃない。

 

つまらないんだ。

 

面白ければつじつまなんか気にならないんだ」


という意味のことはいろんなストーリーテラーが言っているけど、その通りだな。

……そこが難しいんだけど。

 

金曜ロードショーでやってたら、ビール片手にほほーんたのしーって観られると思う

 

・アクション要素やメカ要素はたっぷりだがバイオレンス度は低め。


機関銃バリバリ撃たれても敵も味方も足をジタバタして避けるようなコミカルな描写が多い。

ルパン原作よりテレビアニメ版のムード。

流血シーンもほぼ無し。悪党の最期も死亡シーンは描写されないディズニー仕様。

 

エロ度はほぼゼロ。峰不二子が下着にすらならない。
(スカートをハラリと脱ぐシーンが『アップの足元にスカートが落ちる』描写で済まされるレベル)

もちろん美少女泥棒のえっちなシーンはない。ママ安心系ルパン。

 

・ルパン一味は形ばかりのワルい言動をするが、美少女に対してほぼ全編に渡り親切。
テレビアニメ版より更に善人度の高い『カリオストロの城』型のルパン。

 

・原作のコミックやアニメの第一期、映画『ルパン三世 ルパンVS複製人間』(1978 吉川惣二監督)あたりまでがルパン、それ以降は認めない!

 ……という方には退屈きわまりない作品と思われます

 

・お宝の眠る遺跡の罠のかいくぐり方が完全にゼルダの伝説
画面左上にまぼろしのハートが見える。


ルパンが罠を破ったとき頭の中であのBGMが鳴り響くわ。ティロリティンティティン♪


この四半世紀にゲームがエンターテイメントに与えた影響についてちょっと思いを馳せた。

 

・キャラクターごとに画風が違う。


ときどき別々のアニメから寄せ集まったように見えて笑ってしまう時がある。
興をそがれる白ける…というほどの不満はないけどちょっと「ンフフッ」と苦笑してしまった。

 

こんな感じなんだよ↓

 

ルパン一味と銭形→おおむね従来のシリーズ風のタッチ

敵(ナチス残党)→比較的リアルタッチな白人男性

敵のリーダー格の男→日本のアニメやマンガに出てくる「酷薄なエリート」風美男子。

美少女泥棒→まるっきり最近のディズニー。というか君、アナ雪の世界から来たでしょう…? レリゴー?

CGでかわいい女の子を生き生きと動かす時に参考にしたのがディズニーだったのかなぁ?

ルパンと美少女が顔をつきあわせて話すシーンの「コ、コラボ…?」感がすごかった。
でも各キャラクターけっこういきいきとしていたので悪い印象は無い。

 

・次元の目がやたら露出される。それって演出の方針なのか3DCGのクセなのか知りたくなった。

この映画って 
「上を向いているけど帽子の影でぜったい目元は見えない」みたいな

テレビアニメでよくみた「絵のウソ」が少なく感じるのね。

 

平面の絵はその不正確さが魅力なんだけど、総じて今作はキャラクターの顔が整っていてクセが少なく感じました。

整ってない顔(ひどい言い方になってしまった)を3Dモデルにするのは大変なのかな?

別にこの点が不満とは思いませんでしたけど気になる。

 

・善人ルパンが好きな人、冬にアニメ映画を観たいキッズが家庭にいる方はお金を払って劇場に行っても満足なさるのではないかしらー。


以上! レビュー終わり!